YEC TOURING REPORT 栃木県馬頭温泉 vol2
2日目
5月6日(晴天)
朝もやの中で初めは確認できなかったが、朝風呂の湯船から目の前の那珂川で胸まで覆うゴム長ズボンを穿いて腰まで入り、鮎釣りをしているおじさんが見える。
5月になって本格的に那珂川の鮎漁も解禁になったのである。筆者は少年期に両親の実家がある会津へ帰省すると二つ上の従兄と行動を共にして、自転車で山の奥まで入って行き、渓流釣りに出かけた。釣りをする岩場では照り返す陽射しと襲ってくる虻との戦いで釣りどころではなかったが、今でも鮮明に残っている夏の思い出である。最近は何年も渓流釣りなどする機会がないが、リタイアしたらまたあの頃のように山女や岩魚を追いかけてみたいと思う。
穂先に漁火を灯した釣り船を模した檜造りの露天風呂の湯船は外気にさらされてだいぶぬるくなっていたので、ゆっくりと長めに浸かることができ、至福の時を過ごした。他の宿泊客もほとんどが家族連れで、4連休の最終日ということもあってか少なめで全般的にゆったりとして寛ぐことができた。
朝食は筆者が食べられない生卵、納豆が出されたので個人的には不満が残ったが、雑穀米やよもぎ粥も提供されていたので、おかずの良し悪しよりはそちらを堪能した。 昨夜TVの音量を下げろとクレームを付けてきた宿泊客がいたらしく、当室にも女将より電話でお願いをせざるを得なかったので、女将からお詫びとして食後のコーヒーのサービスがあった。筆者は既に眠りについた後だったので何の事だか分からずにいたが、理由は何であれラッキーな事として美味しく頂いた。
出発支度が整った頃、前日は仕事であったため、本日二日目から合流する予定の安部氏が早朝に足立を出発して既に近くまで来ているものの、分かりづらい場所なので案の定、道に迷っているとの連絡があった。最寄りの道の駅で待ち合わせにしようか検討していたところ、出発予定の9時30分前後に宿に到着した。
宿の前で恒例となっている集合写真の撮影をしてから出発することになった。出発してまもなく国道293号線を左折してすぐの道の駅“ばとう”に土産物を買うために立ち寄った。
ここからは国道293号線を鷲子(とりのこ)まで直進して、県道29号線、32号線と繋いで久慈川を超えて国道118号線に出る予定であったが、標識がなくて分かりづらく、県道321号線まで行き過ぎてしまった。最終的には国道118号線に合流するのだが、途中から細い林道(ダート)になってしまったので引き返して軌道修正した。県道32号線は想像以上に快適なワインディングだった。国道118線に合流すると袋田の滝は目と鼻の先である。
滝の周辺では毎回バイクをどこに停めるかは迷うところだが、台数との兼ね合いから前回山中オーナー達がお世話になった土産物屋の駐車場に食事をするのを条件に今回もお世話になった。ちょうど昼食時なので先に昼食を取ってから袋田の滝を見に行くことにした。
筆者が前回訪れたのは10年くらい前で、現在ある立派なエレベーター(有料)は無かったので山登りは結構きつかった。ここで自分の身体に異変を感じるようになった者が筆者を含めて二人いる。健康な人とは確実にその登って行くスピードと動悸の発生、そして回復力に差が出るのではっきり分かる。
いつもはくそ暑い時期にしか訪れたことがないのでどうしてもそのイメージが強く、冬場にはこの滝が凍結している姿をTVのニュースで例年見かける度に本当に同じ場所なのか信じられない位、ここら辺は内陸で寒冷地なのである。帰路は吊り橋を対岸に渡って駐車場まで近道(旧道)を通った。滝からの飛沫で天然のマイナスイオンを浴びていると気分がリフレッシュできた。 ここからは一般道をしばらく走って、常磐道経由で家路につくだけである。誰もが順調に行けば今日は早目に帰宅できるであろうと思っていた。ここで仙台へ帰る西村氏とは国道461号線に合流するところで別れて、筆者達は左折して常陸太田方面に向かった。ここをそのまま進んでも平坦な田舎道で面白くないので小生瀬十字路を敢えて直進して県道22号線から国道349号線への峠越えで再び国道461号線にショートカットしようと計画していた。今思えばこの選択が後悔することになるとは夢にも思わなかった。